WSショーイング時は、なかなかスケジュールが上手くいかず、WSとショーイング日以外のプログラムに参加できず私としては惜しいことをしてしまったのですが、実際に『Chair/Pillow』の振付を身体に入れて、ショーイングまでする貴重な機会に参加でき幸いです。この頃は色々とありまして、生老病死、老いについてをめぐる現場に身を置けたことは、ダンサーを続けようとする自分にとっても、とても重要な時間でした。

淡々とアクセントを置かずに、でも明瞭に身体を扱って、次々と送られて行く動作の連なりを、三度繰り返す(しかも一曲の中で)。狙っていく身体のポジションから、繰り返しの中で微妙に外れてしまっていくとき、あるいは、合致したとき、これらの差異を常に観察しながら動いていました。また、リフレインする動きと、あの曲とで、グルーブが沸々と生まれる感触がありました。

観客席に人がいること、周りに同じく『Chair/Pillow』をしている人がいること、枕があること、椅子があること、、等など、そこにあるなぁというモノへの意識はありますが、見せている訳ではないこと。具体的には、直視しないでいるようにしていましたが、そうすることでモノからの情報量は視覚的に少なくなって、ほかの感覚がいつもより優位になる感覚がとても新鮮だったことを思い出します。

■川瀬亜衣
1987年 京都市生。2010年より千日前青空ダンス倶楽部で踊り始める。2012-13年 国内ダンス留学@神戸2期参加。修了後、Ensemble Sonneに約1年所属、2015年 拠点を京都へ。近年は、黒沢美香、きたまり、あごうさとし、akakilike 、ANTIBODIES Collective 等の作品に出演。(写真:Yagi Noboru)